手汗は病気のサイン? 手汗が多い・止まらないとき、疑うべき病気とは?

手汗 病気
「手汗が多い……何かの病気?」

緊張したり、ドキドキしたときに出る手汗。大抵は緊張状態が落ち着けば自然に引いていきますが、緊張していないのに手汗が出たり、出る量が多かったりすると、病気なのではと心配になってしまいますよね。

「手汗が出る」「臭いが気になる」「ベタベタする」などの場合、何かの病気のサインなのでしょうか。

●手汗が臭う、ベタベタする……何かの病気?
●手汗が増えるのは病気のサイン?
●「病気かも」と思ったら何科に行けばいいの?

「ただの手汗ではなさそう」と感じたら、放っておくのは怖いですよね。
量が多い、臭う、ベタベタするなど、気になる手汗の症状と病気との関係についてまとめました。

手汗の臭い・ベタベタは病気?

手汗 多い 病気
汗というと「臭う」「ベタベタする」というイメージがありますが、本来手汗は、臭ったりベタベタする汗ではありません。

汗が分泌される汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があります。アポクリン腺は脇やおへその周りなど限られた場所にしか存在しておらず、手汗など、体から出る汗のほとんどはエクリン腺から出るものです。

エクリン腺の汗とアポクリン腺の汗は含まれている成分が異なり、エクリン腺の汗のほうが臭いやベタベタは少ないと言われています。

エクリン腺の汗は99パーセント以上が水です。その他ごく少量のナトリウムと塩素(つまり食塩)やカリウムやカルシウム、重炭酸イオンなどの電解質、尿素、アンモニアなどが含まれています。つまり、汗の成分構成は、血漿の成分とほぼ同じで、両者では各成分の濃度が異なっているだけともいえます。(中略)

一方アポクリン腺の汗の成分は、これとはだいぶ異なります。
アポクリン腺の汗には、塩分は非常に少なく、タンパク質・脂質・各種脂肪酸・糖質・アンモニア・ステロイド類・色素リポフスチン・鉄分など、実に多彩な成分が含まれています。(中略)また、その汗はサラッとしておらず、粘り気があります。

引用:五味常明『新・もう汗で悩まない』(ハート出版,2010)pp.40-41

エクリン腺から出る手汗は99%以上が水分のため、本来は臭いもベタベタも少ないもの。
では「臭いが気になる」「ベタベタする」と感じるのは、やはり病気のせいなのでしょうか。

手汗の臭いが気になるとき

手汗 臭い
「手汗が臭うのは病気?」

先ほど「手汗はエクリン腺から出るため臭いは少ない」と書きましたが、実はエクリン腺の汗もアポクリン腺の汗も、分泌された瞬間は無臭。それが、皮膚の表面にある皮脂や埃と混ざることで、臭いの原因になる細菌を繁殖させてしまうのです。

アポクリン汗にしろ、エクリン汗にしろ、腺体からの分泌物は本来無臭です。(中略)

皮膚表面に付着しているアカや皮脂(アブラ)・ホコリ・フケ・表皮の脱落した角質などが、エクリン汗と混じり合うと、細菌にとっては格好の培地となり、細菌が増殖して分解酸化が促進され、低級脂肪酸等のニオイ物質が発生するのです。

引用:五味常明『新・もう汗で悩まない』(ハート出版,2010)p.65

エクリン腺の汗はアポクリン腺の汗に比べて細菌を繁殖させる成分が少ないため、少量の汗なら臭いが気になることはありません。

ところが、汗をたくさんかいて皮膚にあるアカや皮脂などと混ざると、手のひらは細菌が繁殖しやすい環境に。
手汗が臭うのは病気なのではなく、大量に汗をかくことで細菌が繁殖するせいなんです。

手汗のベタベタが気になるとき

手汗 ベタベタ
では、手汗がベタベタするのは何かの病気なのでしょうか。

実は「手汗がベタつく」というのも、汗の量が関係しています。
汗は少量だと塩分濃度が低いサラサラした汗ですが、たくさんかくと塩分濃度が高まっていき、ベタベタする汗に変わっていきます。

汗の量が少ないうちは、汗は比較的さらっとしているが、汗の量が増えるにつれて次第にべとつくようになるのは日常的に経験される。べとつきの原因の一部としてこのような汗の塩分が関係している。少量の汗は、それ自体で蒸発は早いのであるが、さらに塩分濃度も低いため蒸発しやすい。さらに塩分濃度が低ければ汗が蒸発したあとに皮膚に残る塩分量も少ない。

引用:菅屋潤壹『汗はすごい』(ちくま新書,2017)p.48

塩分濃度が低い汗は、蒸発が早いだけではなく皮膚に残る塩分も少なく済むため、あまりベトつくことはありません。
ところが、汗の量が増え塩分濃度が高まっていくと、ベタベタする不快な汗に変わってしまうのです。

手汗の臭いやベタベタなどの悩みは、手汗の量が多いことが原因。
では、「手汗がたくさん出てしまう」という症状の裏には、何かの病気が隠れているのでしょうか。

手汗が増えた場合に考えられる病気

手汗 止まらない 病気
手汗が増えたと感じた場合、考えられる病気はいくつかあります。

・甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)
・褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)
・更年期障害
 など……

更年期障害は有名ですが、ほかのふたつは耳慣れない病気ですね。それぞれ手汗以外にどんな症状があるのか、チェックしてみましょう。

甲状腺機能亢進症のチェックポイント

 心拍数の増加、血圧の上昇、息切れなどがある
 手以外の部分にも汗をたくさんかく
 手の震えがある

褐色細胞腫のチェックポイント

 頭痛や動悸の症状が出る
 血圧が高くなる
 皮膚が青白くなる

更年期障害のチェックポイント

 のぼせ、ほてりがある
 イライラする、鬱(うつ)っぽくなる、寝つきが悪くなる
 腰痛や肩こりの症状が出る

どの病気も、放置すると重症化する可能性がある怖い病気です。
それぞれどんな病気なのか、詳しく見てみましょう。

1.甲状腺機能亢進症

手汗が増える原因のひとつが、「甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)」という病気。喉にある甲状腺から分泌される「甲状腺ホルモン」の量が増える病気で、よく聞く「バセドウ病」も、この甲状腺機能亢進症の一種。

甲状腺ホルモンは、全身の細胞に対してエネルギー消費を増やす作用があります。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるとエネルギーをたくさん消費するため全身の熱生産が増え、手や体全体の汗の量が増加するのです。

甲状腺機能亢進症は、耳鼻科や内分泌内科などで診てもらうことができます。
手汗や全身の汗の増加、血圧の上昇、息切れ、指の震えなどの症状が出たら、一度病院を受診してみましょう。

2.褐色細胞腫

手汗が出る病気には、「褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)」も考えられます。

褐色細胞腫とは、「カテコールアミン」というホルモンを生産する細胞が腫瘍化し、カテコールアミンが過剰に作られてしまう病気。カテコールアミンが過剰生産されると代謝機能や心機能が高まり、手汗が増える、頭痛がする、血圧が高くなるなどの症状が現れます。

褐色細胞腫が疑われる場合、内分泌内科や腎泌尿器外科を受診すると治療してもらうことができます。手術を受けることで大抵は良くなるのですが、まれに悪性の場合もあるため放置するのは危険。怪しいと感じたらすぐに病院へ行くようにしましょう。

3.更年期障害

更年期障害も、手汗が増える病気のひとつ。「加齢に伴う病気」「女性がかかる病気」というイメージがありますが、若い人や男性でも、更年期障害同様の症状に悩まされることも。

主な症状としては、のぼせ・ほてりなどの「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状や、肩こり・腰痛、その他イライラや不眠など精神的な症状が出るのも特徴です。

「誰にでも起こりうるものだから」「そのうち治るから」と放置してしまう人も多いようですが、悪化するとうつや不眠の症状がひどくなることもあるため、体が辛い場合は産婦人科を受診しましょう。男性の場合は泌尿器科に行けば検査と治療を行ってもらえます。

手汗が多いときは病気の可能性も疑ってみて

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「手汗が増える」「臭いやベタベタが気になる」など、気になる手汗と病気の関係についてみてきました。

●手汗の臭いやベタベタは、手汗の量が多い可能性が
●手汗が多い場合、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、更年期障害などを疑って
●更年期障害は、若い人や男性も要注意

「手汗が出ても死ぬわけじゃないし……」と軽く見てしまうこともありますが、実は怖い病気が潜んでいる可能性もあるため、放置しておくのは危険です。

今回紹介したのは、手汗が増えた場合に疑われる病気の一例。ここでは紹介しきれなかったものもたくさんあるため、手汗や、手汗以外の体の不調が気になったら、まずは病院を受診するようにしてくださいね。

執筆ライター

執筆ライター:美香

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