手汗の治療について|知っておきたい3つの治療法

手汗 治療
「手汗を止めたい…治療にはどんな方法があるの?」
「病院で治療を受けるときの費用は? 通院も必要なの?」

手汗の治療。有名なものだとボトックス注射などがありますが、ボトックス注射よりもお手軽にできる治療や、もっと高い効果が期待できる治療など、治療の方法はさまざま。

治療法を決める際には「手汗の症状はどのくらい重いのか」「費用の予算はどのくらいか」「通院が必要なのか」など、自分に合った方法を見つけないと望むような効果は得られません。

●手汗の治療にはどんな方法があるの?
●何科を受診すればいいの?
●費用・値段は? 保険は適用されるの?
●治療の期間はどのくらい? 通院も必要?

手汗の治療をスムーズに行うために、治療費の相場や通院期間、副作用など、病院で手汗を治療する際に知っておきたいポイントをまとめました。

手汗の治療は、症状に応じた治療法を選ぶこと

手汗 治療 ボトックス
一口に「手汗の治療」と言っても、手汗の症状には個人差があり、症状の重さによって適切な治療法は変わってきます。
まずは、あなたの手汗がどのくらいのレベルなのかを簡単にチェック。

<手汗の症状レベル>

■グレード1(軽度)
手のひらが湿っている程度。

■グレード2(中度)
手のひらが濡れている。水滴が見えることもあるが、したたるほどではない。

■グレード3(重度)
手のひらから汗がしたたり落ちる。

グレード1の人でも、気になるなら病院で治療を受けましょう。グレード1の人でもできる簡単な治療もあるので大丈夫。

「手のひらが濡れる」「手のひらから汗がしたたる」など手汗の症状が重くなると、治療もボトックス注射や手術といった大きな処置が必要です。
簡単な治療に比べて費用はかかってしまいますが、それだけ手汗改善の効果も期待できます。

「手汗の治療には、心理療法も効果があるって聞いたけど…」

手汗は精神的なストレスも原因であるため、カウンセリングなどの心理治療も選択肢のひとつではありますが、治療に時間がかかるほか、効果の出方にも個人差が。

「手汗を止めること」を最優先の目的にするなら、注射や手術などで物理的に手汗を止める外科的治療のほうが、短期間で効果が見込めます。

「手汗が心配で、人に会ったり外に出ることができなくなってしまった」というほどのストレスを感じているなら、心理療法も検討を。しかし、早く手汗を止めたいのならば外科的治療のほうが効果が期待できるかもしれません。

「手汗の原因は緊張だっていうけど、本当にそれだけなの?」 「緊張していない時でも手汗が…なぜ?」 止まらない手汗。「気にするから出るんだよ」「気にし...

症状のグレード別、手汗の治療法3つ

手汗 治療 方法
ここからは、実際に病院で行われる治療について、効果や費用、治療期間などを先ほどの症状グレードごとに紹介していきます。

<手汗の症状別 治療法>

グレード1の人向け…イオントフォレーシス
グレード2の人向け…ボトックス注射
グレード3の人向け…胸腔鏡下交感神経節遮断術(手術)

今回はこのメジャーな3つを紹介していきますが、手汗の治療は他にも方法があります。
自分で「この治療がいいかも」とある程度選んでおくのもいいですが、実際に治療法を決めるときには、担当の医師と相談しながら決めてくださいね。

グレード1|イオントフォレーシス

手汗の治療でも特に簡単な方法が、イオントフォレーシス。イオン導入法とも呼ばれます。

イオントフォレーシスとは、水を張ったバットに弱い電流を流して、その中に手を数十分間浸す方法。よくメガネ屋さんに行くと、超音波でメガネを洗浄する機械がありますよね。見た目はあのイメージです。

イオントフォレーシスは、手のひらで活動している汗腺の数を減らすことができるため、手汗を改善する効果があるとされています。

微弱な電流を流した水道水に、多汗部位を20分間ほど浸すだけという簡単な方法です。週に3回ほど当てると、3~4週間後に発汗が停止し、中止すると元の状態に戻ります。

引用:塩谷正弘 監修『ひどい汗かき―多汗症』(日本放送出版協会,2000)p.40

イスに座って両手を水の中に浸しているだけなので、治療は非常に簡単です。たまに電流のピリピリした痛みを感じることもあるそうですが、そこまで強い痛みではないので大丈夫。値段も、保険が適用され1回1,000円前後とお手軽です。

ただしこの治療は、週に2~4回のペースで継続して行わないと効果が切れてしまいます。常に通院し続ける必要があるため、時間的な余裕がないと難しいというのがネックです。

<イオントフォレーシス(イオン導入法) まとめ>

■治療内容・効果
→微弱な電流を流した水の中に手を入れ、手のひらの汗腺を閉じる。

■診療科
→皮膚科など

■治療期間・頻度
→1回20~30分。週に数回通院が必要。

■費用・保険
→保険の適用対象。
→1回1,000円前後。2,000円くらいかかる病院も。

■副作用・リスク・デメリット
→通電中に、電気のピリピリした感じがする。
→治療をやめると効果が消えるため、通院し続ける必要がある。

グレード2|ボトックス注射

手汗 治療 注射
手汗の治療で、先ほどのイオン導入法よりも効果が高いのがこのボトックス注射。

ボトックス注射は、手のひらに直接「ボツリヌス毒素」と呼ばれる毒素を注射して手汗を止める方法。ボツリヌス毒素には「アセチルコリン(発汗を促進させる伝達物質)」を抑える作用があるため、手汗を防ぐことができます。

しかし、「1回注射しただけで永久に手汗が止まる」というわけではありません。
ボトックス注射は、手のひらに20ヶ所以上注射する必要があり、効果が続くのは4~6ヶ月。効果が切れたら再度注射を打つ必要があります。

また、保険が適用されない病院が多く、費用の相場は1度の治療で10万円と高額です。年に2~3回注射をすると、年間20~30万円の治療費がかかるということを覚悟しておきましょう。

<ボトックス注射(ボツリヌス菌毒素) まとめ>

■治療内容・効果
→手のひらに直接ボツリヌス毒素を注射し、発汗神経を麻痺させて手汗の分泌を止める。

■診療科
→美容外科・美容皮膚科など。

■治療期間・頻度
→効果は6ヶ月ほど持続。効果が切れたら再度注射を打つ必要がある。

■費用・保険
→保険が適用されず、自費負担になる病院が多い。
→費用は、1度の治療で10万円。

■副作用・リスク・デメリット
→手のひらに20ヶ所以上注射を打たなければいけない。
→効果が数ヶ月で切れてしまい、治療費は年間20~30万ほど必要になる。

グレード3|胸腔鏡下交感神経切除術(ETS)

手汗 治療 手術
手汗の治療で最も本格的なのが、胸腔鏡下交感神経切除術(Endoscopic Thoracic Sympathectomy)。長いのでここでは「ETS」と省略して呼びます。

このETSは、内視鏡や電気メスを使い、脳からの「汗をかきなさい」という信号の伝達ルートである交感神経節の一部を切る方法。ここまで紹介してきた治療法と異なり、体にメスを入れる手術です。
治療費は保険が適用され、相場は9~10万円ほど。一度手術をすれば、効果は一生続きます。

手汗の治療法としてETSを選択する場合、必ず知っておかなければいけないのが「代償性発汗」という副作用。手のひらの汗が止まった分、代わりにほかの部分(背中、お腹、太ももなど)にかく汗の量が増えてしまうのです。

症状のグレードの低い人の場合、手術を受けたことを後悔するという人もいます。2年前に胸腔鏡下交感神経切除術を受けたJさん(28歳・女性)の場合がそうです。(中略)

代償性発汗もひどく、特に夏場、テニスをするとまさに川から上がったようにビッショリです。
できるものならば戻したいと言われましたが、それはできないとお話ししました。
「手術を経験された人のお話を手術前にもっと聞いておくべきだったのでしょう。ただ手術を受けなければ、それはそれで後悔が残るかもしれないし、ほんとうはどちらがよかったのか、今でもわからないのですが」

引用:塩谷正弘 監修『ひどい汗かき―多汗症』(日本放送出版協会,2000)p.70

一度切ってしまった交感神経節は元に戻せません。手汗の悩みは消えても、今度は体の多汗と付き合っていくことになります。
この副作用の重さをあまり考えずに手術をして、あとで後悔する人も多いそうです。

ETSは、手汗を止める効果はかなり期待できると言えるでしょう。
代償性発汗のリスクを医師からしっかりと聞き、よく考えたうえで治療を受けるようにしてくださいね。

<胸腔鏡下交感神経切除術(ETS) まとめ>

■治療内容・効果
→脳からの「汗をかけ」という命令の伝達ルートである交感神経を切り、脳からの信号を断つ。内視鏡や電気メスを使って行う外科治療。

■診療科
→外科・整形外科など

■治療期間・頻度
→1度手術をすれば、効果は一生継続する。

■費用・保険
→保険の適用対象。
→治療費は9~10万円程度。

■副作用・リスク・デメリット
→代償性発汗が起こる。
→手術のため、合併症や出血などのリスクを伴う。

手汗を治療して、生活を変えよう

手汗 治療 費用
手汗の治療にはそれなりの時間やお金がかかりますが、手汗の悩みから解放されるという効果は大きいものです。

「常にタオルが手放せない」「自分が触ったものをほかの人に触らせたくない」…手汗の悩みは、手汗に悩んでいる本人にしか分かりません。誰にも相談できず悩んでいるなら、医療機関での治療も選択肢に入れてみて。

●安くお手軽にできるのは「イオントフォレーシス」。
●イオントフォレーシスよりも高い効果を求めるなら「ボトックス注射」。
●さらに効果が高いのは「胸腔鏡下交感神経切除術」。ただし重い副作用も。

手汗が改善されれば、生活もガラッと変わります。今までできなかったこと、手汗のせいで諦めていたこと…たくさんありますよね。

手汗の治療法はどんどん技術が進んでいて、費用やおすすめの治療法なども変わってきています。医師としっかり話し合い、納得のいく形で治療を進めていきましょう。

執筆ライター

執筆ライター:美香

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